DESIGNER | AVANT CONVERSE
アルベール・エルバス Alber Elbaz
Vol.1

Alber Elbaz

「AVANT CONVERSE(アヴァン コンバース)」を
アルベール・エルバスが語る。

日本のコンバースから今回のプロジェクトの依頼が来たとき、はじめにどんなことを想像しましたか。
まず、私は何よりファッションが大好きなので、このお話はとても興味深く聞かせていただきました。
その中で私の脳裏によぎったのは、2人の人物のことです。1人は95 歳の義理の兄。
もう1人は今年で3歳になる親友の娘です。彼らは住んでいる場所も世代もまったく違いますが、
2人とも毎日のようにコンバースを身につけているんです。
コンバースというのは、そのような様々な人たちから愛されるブランド。
言い換えれば、「ファッション好きのためだけのブランドではない」と思いました。
AVANT CONVERSE
「日本との仕事」という点では、どんなことを?
今日の私たちは、非常にめまぐるしい発展の中で生きています。
そんなとき、私は日本の「静寂」の文化を思い出すことがあります。
静寂の中には、ある種のエレガントさも内包されています。
たくさん話すことがあったとしても、それをあえてひけらかさないという日本人の精神。
このような研ぎ澄まされた静寂のエレガンスこそ、昨今、私が求めているものでした。
それは、今回このプロジェクトに携わることを決めた大きな理由でもあります。
AVANT CONVERSE
プロジェクトを進行するにあたり、コンバース・チームにはどんな印象を受けましたか。
コンバースのチームは本当にすばらしい。才能に満ち溢れているだけでなく、本当に誠実な人たちですから。
彼らは「自分たちが何をしているのか」を良く理解しているので、私はその後押しに力を入れ、
コンバースが次の新しいステージにステップアップできるように努めています。
具体的にはどんなことを?
例えば、デザインに「プレゼント」「コンバースへの敬意」、そして「ユーモア」という3つのポイントを織り交ぜました。
日本の方は、まず相手にプレゼントを渡し、それから名刺交換を行うことが多いですよね。
つまり、プレゼントを非常に大切にしているんです。
そのことをヒントにして、私たちは「プレゼントとしてのスニーカー」というものを作りたいと考えました。
また、今回のプロジェクトで重要だったのは、コンバースの基本となるDNAには手を加えず、
アップスケールを実現すること。
そのため私は、クラシックなキャンバスではなく、あえて贅沢感が味わえるレザーを使用しました。
さらに、靴とシューズボックスのデザインをぴったりマッチさせ、全体の高級感もアップさせました。
その一方で、シューズバッグに私の顔を描き込むということも。
ラグジュアリー感のなかに、しっかりとユーモアが感じられるようにしたかったんです。
AVANT CONVERSE
なぜ、ユーモアなのでしょうか。
そもそもファッションとは、人々のために幸せな瞬間を創り出すためのもの。
その意味で考えれば、ユーモアのセンスは今回のプロジェクトにとってなくてはならない要素だと感じたからです。
さて、今回のコンバースとのコラボレーションで、 あなたは久々にファッションの分野に復帰することになりましたが、 あらためて現在のファッション業界を目にしたとき、どのようなことを感じたのでしょうか。
コンバースとのコラボレーションは、世界を数ヶ月旅した後の最初となるプロジェクトです。
私が今回の旅を通じて痛感したのは、「世界は変革を遂げる大きなうねりの中にいる」ということでした。
それは、もちろんファッションの世界も同様でしょう。
そのような変化に対応していくためにも、ファッションはさらにアップデイトを重ねながら、
必要性のあるデザインと幸せな瞬間を作り出さなければいけないと感じています。
では、最後に、次回はどのような「美」を表現したいですか?
それはまだ内緒です。

DESIGNER PROFILE

Alber Elbaz アルベール・エルバス

Alber Elbazアルベール・エルバス

モロッコのカサブランカ生まれ。イスラエルのテルアビブで育ち、
シェンカー カレッジ オブテキスタイル テクノロジー&ファッションにてファッションを学ぶ。
その後ニューヨークに渡り、伝説的なアメリカ人クチュリエであるジェフリー・ビーンの
右腕として7年間勤務。同年9月、パリに移り「ギ ラロッシュ」のプレタポルテ チーフデザイナーに就任。
1998年11月、イヴ サンローランに入社。
「イヴ サンローラン リヴ ゴーシュ」のアーティスティック ディレクターに就任。
2001年10月、「ランバン」のアーティスティック ディレクターに就任。
2016年10月、ナポレオンによって創設されたフランスの勲章で、
民間人で受けることができる最高章レジオン ドノールのオフィサー(将校の位)を受ける。
感情と楽観主義を大切にしながら 都会的なエレガンスを提案し続ける。
モダンさとフェミニティ、職人技とオリジナリティ、官能性とクリエイティビティを融合することを得意とし、
125年の歴史を誇る老舗ブランド「ランバン」を、眠れる森の美女を呼び覚ますかのように見事に復活させ、
世界で最も人気の高い ラグジュアリーブランド に昇華させる。
オープンマインドで誠実、本能的でチャレンジ精神旺盛なアルベール・エルバスは、その類稀な才能と
煌めく人間性で 瞬く間にファッション界のスターダムに駆け上り、数々のアワードを受賞。